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2011年1月24日月曜日

屋根付き馬車を作ってみよう

みなさん、こんにちは。

前回は、「サリー」と「フリンジ付きサリー」を作り、初期の馬車がどんなスタイルをしていたか、を探りました。
さて、サリーの天井に付いているフリンジは、日よけ(たまに雨よけ)にはなっても、風よけにはなりません。つまり、サリーのようなオープンな馬車は主にレジャー向きであることがわかります。
だが、時代がたつにつれて、より実用的な馬車が求められるようになります。つまり、旅客と荷物を運ぶ馬車です。そのためには、風雨を防ぐためのちゃんとした屋根がついてなくてはなりません。これを、オープン(無蓋)に対してクローズド(有蓋)といいます。これが発展して、列車となり、バスへとつながっていくのです。そういえば、carriageという英語は、もともと「運ぶもの」という意味で、初期には「馬車」の意味で使われていたのですが、後に「客車」や、「自動車」という意味に発展していきます。
それはともかく、今回は、「しっかりした屋根の付いた馬車」を作ってみたいと思います。

まず、いつものように、下の写真のような、15mmx40mmx120mmの平板を用意します。


次に、下の写真のように、両端に木片(20mmと30mm)を積み上げます。


上の写真では、御者台の部分はすでに加工がなされていますが、左側が先頭で、右側が後部です。
次に、下の写真のように、先頭部分の両端を先頭から30mmのところで3角に切り落とします。


次に、下の写真のように、先頭から30mmのところ(上と同じ位置)に、もう1つ木片(20mm)を縦に入れます。これは、御者台と客車部分とを隔てる「仕切り板」となります。


次に、下の写真のように、この部分の両側に平板(22mmx88mm)を張ります。


ここまでの姿を、斜め上から見てみましょう。


どうです、大分仕上がってきたのがわかりますね。
次に、下の写真のように、4本の支柱をたてます。前方の2本は箱の内側に、後方の2本は背板の上部に立てます。


いよいよ、上棟式といきましょう。下の写真のように、屋根(55mmx110mm)を乗せます。前方は丸く縁取りしてください。


上の写真では、すでに4つの車輪がはめられていますが、前輪のつけ方を下から覗いて見ましょう。


最後に2つの後輪を履かせます。車体の下に、12mmのあて木を敷くのでした。
では、最後にその姿を2枚続きで見ていただきましょう。


どうでしょう。外の景色も眺められる4人乗りの馬車が出来ました。アクセントのために、屋根と車輪には色をつけています。
御者台がちょっと高すぎた感じですのでもっと低くし、さらに後輪を一回り径の大きい車輪(30mm)に代えたのが、下の写真です。


どうでしょう。これで完成となります。

さて、この種の馬車を多数所有できた当時の資本家は、運送会社やタクシー会社を運営し、さらに大金持ちになりました。
こうして、馬車によって人や物が運ばれるようになると、お互いに乗り合わせた人々の間で会話が弾み、情報を運ぶ馬車にもなりました。また、同時に金(かね)を銀行間に運ぶ馬車も現れました。
こうして、この「屋根付き馬車」の出現によって、[人+もの+金+情報]の移動という、経済の流れがこの馬車のもとにスタートしたのです。
このあと、馬車は馬を何頭も使うほど大型化し、2階建ての馬車まで登場しました。しかし、それにも限界があります。鉄道が発明され、蒸気機関によって、大量の人とものが運ばれるようになると、この種の馬車も消えていく運命にありました。

では、ここで、これと同時に作った「屋根付き馬車」7台のレビューといきましょう。各2枚続きになっています。

1)自家用馬車


御者台と車両部分が完全に分離されたタイプです。屋根には、キャリアを乗せました。お金持ち用のキャンピング・カーという作りです。

2)観覧馬車


よく観光牧場や遊園地にある、6人ほど乗れる、観覧車風の開放感のある作りです。

3)タクシー馬車


かまぼこ板で作った、横幅の広いタイプです。そのため、後輪は外付けでなく、内側にめり込ませています。

4)長距離馬車


長距離用の、後部より乗り降りするタイプです。

5)ぼっちゃん馬車


四国松山のぼっちゃん電車のような、窓が上の方についている馬車です。左側に乗降口をつけました。

6)バス風馬車


窓を2つ設けて、バス仕様になっています。後輪の模様にご注目。

7)荷物馬車


人を乗せて運ぶというよりは、ものや金(かね)を運ぶ馬車です。そのため、窓は潰してあります。現代風にいうと、現金輸送車か、人命救急車か、囚人護送車というところでしょうか。
ということで、今回はおしまい。みなさんも、このうち1つに挑戦してみませんか。


なお、私はこの屋根付き馬車のような、模型やお人形をホームページで公開しています。ぜひ、次のサイトを訪れて見てください。


また、このような模型とは別に、油絵(生絵)も描いています。それらは、次の、別のサイトで公開しています。下のアドレスをクリックして、ぜひ訪れて見てください。

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