みなさん、こんにちは。
これは、今年(2011年)初めてのブログになります。
まずはじめに、みなさんに年賀状を差し上げましょう。といっても、私は大の「年賀状嫌い」で、毎年親戚宛てのみ5枚しか書きません。だが、去年「ウサギ」の模型を作った関係上、それをモチーフに年賀状をみなさんにあげようと考えました。ということで、
どこにも、「おめでとう」という言葉がないことにご注目ください。
さて、私は、これまでに「突撃中国船」「クラシック・カー」「ウサギ」「プラウラー」「サイレント・イーグル」などの木工の模型とその作り方をお話してきましたが、だいたい要領はお分かりいただけたでしょうか。
さてさて、「弘法は筆を選ばず」ということわざはウソで、私はこれをモジって「工房は筆を選ぶ」といっています。つまり、私の工房では、よい道具があってこそ、よい作品ができる、ということをモットーにしています。そのことは、私に限ったことではなく、木の桶を作っている職人さんでも、大小100個以上のカンナを持っているのは常識ですし、マグロの解体にはそれにふさわしい包丁が必要です。また、道具のメインテナンスも大切で、いい職人ほど道具を大切にするものです。包丁を砥石で研ぐことのできない料理人が、おいしい料理を作れるはずもありません。
ということで、今回は、年の初めにふさわしく、「木工模型に必要な最低限の工具とその使い方」についてお話しすることにしました。だが、私の木工模型では、電動工具やエアブラシなどの高価な道具は必要ありません。どうぞご安心ください。
1)ノコギリ
まず、最初に必要なものは、ノコギリです。
だが、家庭によくある「よこびき・たてびき両用のノコギリ」は、細かい作業には向きません。上の写真のような片刃で、刃幅は0.3mmの目の細かいものを選びます。
さらに、取替え可能な刃の付いたものが便利です。ちなみに、私はGyokuchoというメーカーの「レーザーソーZA」というノコギリを使っています。このノコギリは、刃渡り240mm、刃幅0.3mmで、先端が丸くなっていて、その部分にも刃がついているため重宝しています。
2)ナタノコギリに次いで便利なのがこのナタ。いささか扱い難そうですが、木を削ったり、竹を割るときに便利です。よく切れるナタは、カッターナイフの役割もしてくれます。ただし、5000円以上のいい品を選ぶこと。一生ものだから元はとれます。 3)カッター・ナイフ
昔は、切り出し小刀(こがたな)という工作用のナイフを使っていましたが、このオルファ製のカッター・ナイフが登場してから、工作現場、学校現場、流通業界に革命が起きました。
木は、雨の日に原始人が洞窟でやっていたように、このナイフを使って、コツコツと時間をかけて削っていきましょう。ただし、必ず外に向けて削ってください。止むを得ず手前に引くときは、皮製のエプロンをつけてください。よくデパートなどで目にする靴の修理のおじさんをイメージしていただくといいと思います。
4)作業台
ノコギリを使うときは、上のような作業台を用意します。厚みは40mmほどあれば、ノコギリもひっかかりません。一方の端に「止め」の板を取り付けておきます。これはカンナを使うときのストッパーになります。
5)滑りどめシート
ノコギリを引くとき大切なことは、素材を安定させること。特に円柱を切るときは素材が動き回って苦労します。そのときの必須のアイテムがこの「滑りどめシート」。素材が切り落とされる寸前でこれをはずします。ノコギリを引くときは、心を空しくして切らねばなりません。まっすぐ切れないのは心が歪んでいる証拠です。
6)サンドペーパー
表面を滑らかにしたり、切ったあとのバリ取りなどに使います。一番細かいものは、1200番というものですが、木の模型を作るときには次の2種類があれば充分です。
a)40番(1番粗い)
b)60番(中の上くらいの粗さ)
また、素地としては紙製と布製がありますが、断然、布製を薦めます。なにせ、耐久性が違います。
7)ホールダー
サンドペーパーはそのままではとても扱いにくいので、普通は、当て木に巻きつけて使います。だが、上の写真のようなホールダーという器具を使えば便利です。
また、下の写真のようなスタイルのホールダーもあります。
もし、この器具のサイズに合うようなサイズのサンドペーパーがなければ、大きなサイズのものを買ってきて、これに合わせて3~4枚に切って使います。この方が、1枚ずつ買うよりもずっと経済的です。
だが、実は、私はこのホールダーで満足したことはありません。どれも、貧弱過ぎてこうした木工模型の製作には向きません。このブログをご覧のみなさんで、推薦すべきホールダーをご存知の方はぜひお教え願います。
8)木工やすり
木を削るのに便利な道具です。片方が「平」、片方が「丸」になっているものを選びます。これもケチらないで良いものを選んでください。
9)のこやすり
金属を切るノコギリのような刃がついていて、大まかな形を整えるのにとても便利な道具です。片方が「粗」、片方が「細」になっています。
10)キリ
竹ヒゴを埋める穴を開けるのに、ぜひ必要です。また、下の写真のドリルを使うときも、あらかじめその位置をこのキリで開けておけばドリルの先が滑ることがありません。
11)電気ドリル
電気ものはなるべく使わないというのが私のモットーですが、この電気ドリルは、コードもなければプラグもない蓄電池式のドリルです。本来は、木ネジなどを締めたり、緩めたりするものですが、実はドリルも可能なのです。これはコード式の電気ドリルほど大げさでないので実に重宝しています。ただし、早めに電池が切れるのが難点。頻尿症の患者のように30分おきに充電に走らなければなりません。上の写真では、12Vという表示が見えますが、これがトルク(パワー)を表示していて、必ず12V以上のものをお買い求めになるようお勧めします。
12)カンナ
腕力がないと扱い難いのがこのカンナ。サンド・ペーパーではどうしても縁が丸くなってシャープさが出ないときに使います。別の不要の木材で充分練習してから使用してください。素材である木の、木目、柾目、逆目を見分ける必要があります。これが縦横に使えるようになったら木工模型も黒帯です。
13)刷毛(はけ)
サンドや木工やすりをかけたあとは、必ずこの刷毛で木粉や木くずを払う必要があります。
14)クランプ
2つの木材を止めたり、寄木を作るときには必ず要る道具です。ただし、木工ボンドを塗ってすぐ締め付けると、佐世保バーガーのように上下がずるずると滑って位置が狂ってしまいます。半乾きのときを狙って、思い切り締め付けます。このとき、上の写真のように、両側に薄い板を挟み込むこと。こうしないと、作品にクランプの跡がついてしまいます。
15)ニッパー
普通「ラジオ用ニッパー」と呼ばれる、電線などを切る道具です。上の写真のような肉厚でないものを選びます。このニッパーは、竹ひごの切断はもちろん、釘抜きや庭木の剪定もできて、実に便利です。
16)木工ボンド・ノミ・ハサミ
この中で、一番必要なのは「木工ボンド」です。100円ショップのものが出口が小さくて使い易いです。ノミは、時たま必要になることがあります。ハサミは、刃渡りが長いものがシートを切るときなどに便利です。
最後に、登場したのは「きず薬とバンドエイド」。これは、冗談ではありません。ついつい、用心しているつもりでも、やってしまうのです。他人には注意しているクセに、自分では何度血をあびたことか。くれぐれもご用心。ということで、今回はここで締めましょう。なお、私はこのような工具を使って、人形や車や船舶などの模型を、次のホームページで公開しています。ぜひ訪れて見てください。また、このような模型とは別に、油絵(生絵)も描いています。それらは、次の、別のサイトで公開しています。下のアドレスをクリックして、ぜひ訪れて見てください。https://sites.google.com/site/aquirakusume/