クスメ・アキラの木工模型の世界へようこそ





2010年12月26日日曜日

翼をたたむプラウラーを作ってみよう

みなさん、こんにちは。

この間まで、尖閣諸島での衝突、ヴィデオの流出、などと言っていたのに、今度は、北朝鮮によるヨンピョン島の攻撃、それに対する米韓共同軍事演習、WikiLeaksによる公電の流出、と世の中目まぐるしく変化している中に、海老蔵の暴力事件などが絡むものですから、もう何が何やらわからなくなってきました。
だが、今年が終了するまでにしばらくありそうなので、その軍事演習のときに登場した、ある戦闘機を作ることにしました。私の模型製作も、「中国船(船)」→「クラシック・カー(車)」→「うさぎ(動物)」と流れてきたので、今度は「ヒコーキ」ということで、ちょうどいいのではないでしょうか。

その戦闘機とは、プラウラー(prowler)といって、攻撃を兼ねた情報収集機のようですが、ジョージ・ワシントンという空母から離陸したり、着陸する映像がTVで流れたので、ご覧になった方もいらっしゃるでしょう。実は、そのユニークなスタイルにすっかり虜(とりこ)になってしまったのです。
何がユニークといって、そのヒコーキが空母の甲板に帰還し、役目を果たすと羽根をたたむのです!なぜかって?
もちろん、甲板は狭いため、なるべく多くのヒコーキを駐機(?)させたいためでしょう。空母には80機のヒコーキが駐機可能ですが、それでも、広いに越したことはない。確かに、ヒコーキの主翼って、船上では邪魔ですよね。
それで、思いついたのですが、日本の駅前の自転車のあのひどさ、何とかなりませんか、ということでいうと、このヒコーキのように、自転車のハンドルがパッチンと折りたためるようになっていれば、あんなに場所は取らないし、ひっかかたり、他人の自転車を倒したりしませんよね。

おっといけない、やたらイントロが長くなってしまいました。さっそく、グラマン(Grumman)の作ったそのプラウラー(EA-6B)なるヒコーキを作ることにしましょう。

まず、道端か公園から、下の写真のような、直径15mmぐらいの木の棒を拾ってきて、160mmに切ります。


なるべく真っ直ぐなものがいいですが、たとえ曲がっていても、その部分をうまく使えばその方が効果的なこともあります。

次に、この棒の両端をカッターで削り、下の写真のようにします。


右側が先頭です。機尾にあたる部分は細長く、滑らかに削ってください。

次に、この胴体に貼り付ける、主翼(2枚)、尾翼(2枚)、垂直尾翼(1枚)、の合計5枚の翼を、2mm厚の薄板で作ります。模型ショップで売っているバルサ材でいいでしょう。下の設計図を頼りに切ってみてください。

まず、主翼です。左右対称を利用して、下の写真のように、斜めに切るだけで2つ同じものができます。


続いて、この主翼の前方にあたる部分を、下の写真ではわかりにくいですが、うすく削ります。これはもちろん風の抵抗を少なくするための必須作業ですね。


この作業が終わったら、この翼を、胴体から50mmのところで2つに切り離します。翼を胴体に取り付けた後では、切れませんからね。これが、先の折りたたみ部分(主翼の半分)になります。

次に、尾翼の2枚です。


次に、垂直尾翼です。TVの映像を見ると、下の写真のように、なぜかこの上方が膨(ふく)れたようになっているのです。これは何か? レーダーと関係があると睨んでいるのですが、詳しくご存知の方はぜひお教えねがいます。この垂直尾翼はしばらくおいておきます。


さて、主翼と尾翼が揃ったので、下の写真のように、胴体を固定し、まず片方だけ、2枚を垂直に立てます。ボンドがはみ出たら、平筆に水を含ませ、早めにふき取ってください。


上の写真で、左の主翼が短いように見えるのは、まだ折りたたみ部分(主翼の半分)をつけてないからです。

片方が完全に乾いたら、下の写真のように、翼の下に板などを置き、左右のバランスを取りながら、反対側の2枚も貼り付けます。


次に別に、爆弾とエンジンの吸気口を作りましょう。
まず、爆弾とは、下の写真のようなものです。大きな菜(さい)ばしを輪切りにして4個作ります。


エンジンの吸気口は、ちくわの芯を使います。これは、竹製ですから穴が開いていて都合がいいのです。だが、竹とは本来円いもの。この竹を四角になるように削って、2つ対称にうすく斜めに切り、下の写真のようにします。


では、胴体を仰向けにして、この6個のものを貼り付けましょう。


上の写真では、片方だけですが、取り付けの要領がわかると思います。

次に、両方ともちゃんとついたら、下の写真のように、垂直尾翼を立てることにしましょう。


上の写真では、すでに、コクピットの上のキャノピー(天蓋)や、着地用の車輪の竹ヒゴの脚も刺してあります。
キャノピーは、丸い車輪を半分以下にカットして作りました。
車輪は、輪切りした円を、下の写真のようにして、あとで車輪の脚の竹ヒゴの部分に貼り付けます。


さあ、いよいよ、温存していた主翼の半分を取り付ける段階になりました。だが、蝶番などは使いません。おもちゃではないので、開いたり閉じたりして遊ぶ必要はありません。閉じたままのスタイルで作品を完成させましょう。
だが、そのままではズリ落ちますから、下の写真のように、何かクッションを引いて寝かせます。これで、くっ付くのかと思うかもしれませんが、大丈夫。


主翼が酒場のカウンターの出入り口のように、持ち上げられているのがわかりますね。くっ付いたら、反対側も同じようにします。上の写真では、もう車輪が取り付けてあります。
だが、色がバラバラで、何だか統一感がありません。本体は、グレー一色の代物ですが、これを灰色で塗りたてては、せっかく木で作った意味がありません。胴体が焦げ茶色ですから、全体を茶系で塗装することにしましょう。
では、出来上がりをご覧いただきましょう。


これで、ずいぶんスッキリしたと思いますが、上の写真ではキャノピーが変わっていることにお気づきですか。こうして塗ってみて初めて、キャノピーのスタイルが似合わないことに気づいたのです。そこで、この部分だけやり直すことにしました。実は、模型工作には常にこうしたやり直しがつきもので、これを繰り返しながら完成に近づくのです。
キャノピーは木地のまま白でおくことにしましょう。これで、爆弾の白とのバランスが取れることになりました。では、別の角度からもう一度見ていただきましょう。


どうです。これでそれなりの活躍が出来そうなヒコーキが出来上がりました。この際、プラウラー(うろつき回って獲物を盗みとろうとする)というような不名誉な名は返上して、海老蔵にたたきつけてやりましょう。
ということで、今回は終わりです。

なお、私はこのヒコーキのような、お人形の模型をホームページで公開しています。ぜひ、次のサイトを訪れて見てください。


また、このような模型とは別に、油絵(生絵)も描いています。それらは、次の、別のサイトで公開しています。下のアドレスをクリックして、ぜひ訪れて見てください。