クスメ・アキラの木工模型の世界へようこそ





2011年1月17日月曜日

サリーを作ってみよう

みなさん、こんにちは。
前回は、公園で拾って来た木の棒を使ってを作りました。

さて、アメリカの有名な歌手であるフランク・シナトラの1955年のヒット曲に「Love And Marriage」というのがあります。その歌は、

Love and marriage go together like a horse and carriage
We can't have one without the other.

と始まるのですが、ここで彼は「恋と結婚」はa horse and carriageのように、切っても切れない仲なのだ、と歌っています。ここでのcarriageというのは、馬車のことで、つまり、馬と馬車の関係は切っても切れないものだということが前提となっているのです。marriageとcarriageを掛けた押韻が見事ですが、それはさておき、今回は、それならばということで、馬とは切っても切れない関係にある馬車を作ることにしました。

だが、「馬車」といってもいろいろあり、そのイメージがまとまりません。そのとき、ヒントになるのが、
「飾りのついた4輪馬車」という、ミュージカル「オクラホマ」に登場する名曲です。これは原題が「Surrey With The Fringe On Top」といって、このうちsurrey(サリー)が4輪馬車に当たります。だが、サリーといっても日本ではまったくイメージがわきません。

実は、このサリーとは、無蓋の簡易馬車のことです。簡易とは、ちょうど、遊園地にある2人こぎの自転車か、池に浮かぶ脚漕ぎのスワン、などを想像していたければいいでしょう。ちなみに、このsurreyを、WordNetというweb上の辞書で引くと、
a light four-wheeled horse-drawn carriage
と出ます。つまり、サリーとは、
1)馬が引っ張る(horse-drawn)→
2)4輪の(four-wheeled)→
3)簡単な(light)→
4)車(carriage)
というわけです。
だから、Surrey With The Fringe On Topを「飾りのついた4輪馬車」というと、とてつもなく豪華な馬車を想像させますが、実は、その天井(on top)に「おあいそ」のように布製の屋根(fringe)がついた馬車のことなのです。だから、「屋根付き簡易馬車」といった方が正しいのです。

いけない。またもや、前置きが長くなりました。
ということで、今回は、この「サリー」を2種類作ることにします。先に、「サリー」を作り、次に「フリンジ付きサリー」を作ります。

[サリー編]

まず、いつものように、下の写真のような、お正月に使った「板つきかまぼこ」の板(10mmx50mmx
110mm)を利用します。


次に、下の写真のように、両側に木片を積み上げます。


上の写真では、左側が御者台になる先頭で、右側が座席になる後部です。御者台の高さは、
20mmで、座席部分は2枚の板(35mmx2)を20mmずらして貼ります。この上の板は、背もたれにあたります。
次に、これらがしっかり乾いたら、先頭部分を両端とも、下の写真のように、3角に切り落とします。


一般に、このような小片は貼っておいてから、切ると簡単にいきます。
次に、後部の座席に当たる部分に、下の写真のように、2人分のくぼみを入れます。


当然のことながら、これらの作業の最中も、絶えずペーパーできれいに磨いていきます。
次に、下の写真のように、台の上に御者席を作りましょう。


上の写真のように、2枚の小片(35mmx20mm)を縦横に合わせます。
続いて、下の写真のように、座席の中央にアクセントのために、仕切り板を入れます。この大きさは
15mmx49mmです。


ほとんど、終わりに近づいてきましたが、ここで全体像を見ておきましょう。


上の写真で、先の仕切り板は斜めにそぎ落としてあることがわかりますね。
次に、作業としては、もっと前でもよかったのですが、背もたれの部分を、下の写真のように、斜めにカットします。


さあ、あとは車輪をはかせるだけになりました。


まず、前輪は、上の写真のように、直径22mmの車輪を、軸(50mm+4mm)に刺して先に用意しておき、下の写真のように、御者台の真下で軸の中心を止めます。


次に、後輪(直径30mm)ですが、後輪は軸を使わず、下の写真のように車体が水平になるよう、下にあて木を敷き、そのまま貼り付けます。


さあ、これで本当に完成です。では、続けて2枚のショットをご覧いただきましょう。


色をつけたくなる気持ちをグッとこらえて、次へいきましょう。


[フリンジ付きサリー編]
このフリンジ付きのサリーの作り方も、基本的にはサリーとほとんど同じですから、違う部分だけを説明します。
まず、下の写真を見てください。右側の座席部分は、今度は屋根が付くので、一段重ね、とします。あまり高い座席部分ではバランスが取れないからです。


次に、御者台の方からのショットを見ておきましょう。


今度の仕切り板は、下の写真のように、色違いのものを貼ってみました。


だが、これだけでは、ちょっと、もの足りないので、アクセントのために、下の写真のように、背もたれのための小片を貼ります。


では、この上に、フリンジをつけることにしましょう。まず、下の写真のように、2本の支柱を立てます。


次に、この柱の上の部分をペーパーで平らにし、フリンジ(屋根)(40mmx50mm)をのせます。


もちろん、このままではうまく付きませんから、何か支えが必要です。
では、前後4つの車輪をはめた勇姿を2枚続けて、見ていただきましょう。


どうでしょう。これこそが、「飾りの付いた4輪馬車」の正体だったのです。

このあとは、この2体を作るのと同時に作った、サリーの別のスタイルを見ていただきましょう。各2枚組でいきます。
1)高い座席のサリー


2)屋根付きサリー(カラー版)


車輪は、リム(縁)もハブ(こしき)も描いてあります。

3)3輪のサリー


私は実際に見たことがないのですが、馬車の初期にはこういうスタイルもあり得たのではないかという想像の産物です。

4)3輪のサリー(カラー版)



これも3輪ですが、前輪を御者台の真下におきました。
ということで、今回はここで終わりです。


なお、私はこのサリーのような、模型やお人形をホームページで公開しています。ぜひ、次のサイトを訪れて見てください。


また、このような模型とは別に、油絵(生絵)も描いています。それらは、次の、別のサイトで公開しています。下のアドレスをクリックして、ぜひ訪れて見てください。



2011年1月10日月曜日

木の棒で馬を作ってみよう

みなさん、こんにちは。寒い日が続きますが、お元気ですか。

今回は、道に落ちている木の棒を拾ってきて馬を作ることにしました。
まず先に、出来上がりの下の写真を見てください。


どうです。脚はずんぐりしているが、なかなか凛とした馬でしょう。こういう馬を、木の棒を使って作ってみましょう。

まず、公園か、道端で、直径15mm~20mmで、長さは170mm以上ある、下の写真のような木の棒を拾ってきてください。


なるべく真っ直ぐなのが望ましいのですが、たとえ曲がっていたり、節があったりしても、これがアクセントになるのでかまいません。

では、上の写真のように、この棒の太い方を右にして置いてください。
ちなみに、この木は、私の名前の由来となっている「楠(くすのき)」です。木肌は黒茶色で、表面はつるつるしていて、切るといい香りがします。しかも、切り口の真ん中には穴が開いていて、これが目のように見えるところから、楠目という名前がついたといわれています。

それはさておき、この棒を右端から順に、下の図のように、3つの部分に分解します。

わかりやすいように、右から順に、A(胴の部分)、B(首の部分)、C(頭の部分)として説明しましょう。


まず長い棒の右端を45度カットします。(このカットされた部分は不要です) そして、底辺で測って80mmのところで、今度は反対向きに、また45度の角度で切り落とします。こうしてできたのが、上の写真のAです。つまり、平面的には台形の形になります。


続いて、また底辺で測って60mmのところで、今度は先に切った角度と平行に45度の角度で切り落とします。こうしてできたのが、上の写真のBです。つまり、平面的には平行4辺形、つまり細長いひし形になります。だから、上辺も同じ60mmです。


続いて、底辺で測って24mmのところで、今度は直角に切り落としてしまいます。こうしてできたのが、上の写真のCです。つまり、一方が垂直になっている台形になります。ちなみに、長いほうの辺は30mmぐらいです。
このように角度を保って切ることは、わりとむずかしい作業ですが、多少ズレても心配ありません。この角度のつけ方で、いろいろの変わった馬が生まれる楽しみもあります。長さにしても、多少長短があっても面白い馬ができますから、心配ありません。

さて、この切り方のパターンを覚えておくと、馬の製作の基礎になりますから便利です。もう一回復習すると、右の端から、45度の角度で「台形→平行4辺形→垂直台形」になるように切るといいのです。

では、いよいよ、この3つのパーツを木工ボンドで止めることにしましょう。


ボンドで止めたら、絶対に動かしてはいけません。上の写真のように、下にクッションをひいて、一晩寝かせてやってください。
一晩明けて、3つのパーツがしっかりくっ付いているのを確かめたら、Aの腹の下の部分に、下の写真のようなカットを入れます。


このカットは、この部分にあとで脚をつけるのに、ボンドが付きやすくするためのものです。

ここから、中盤に差し掛かります。こんどは、頭部分の処理です。まず、下の写真を見てください。


あごに当たる部分を両側ともカッターで削ってありますね。次に、鼻筋を通すために、上部を切り落とします。この切り落とした木片が耳になりますから、捨てないよう。
次に、耳をつけますが、そのためには下の写真のように、頭のてっぺんを平たく削っておく必要があります。


さあ、これで脚を残してほぼ完成です。
今度は、脚になる細い木をさがしてきましょう。下の写真のように、4本とも同じ55mmの長さに切ります。


上の写真では、4本が不揃いですが、これは何とかなります。というより、こういうゴツゴツした木の方が脚らしい感じを生むのです。
ところが、問題はここからです。この4本の棒をいかにして胴体にくっ付けるか? これは至難の技です。ということで、ここで作業は一休み。頭を冷やして、一工夫しましょう。

別に、下の写真のような作業台を作ることにしましょう。


これは造船所にあるドックです。車でいうとピット。これを作って、下の写真のように、ここに馬を仰向けに差込みます。


こうして、この上に4本の脚を立てるのですが、これが大変。1つを立てると、1つが倒れる、の繰り返しです。それなら、瞬間接着剤はどうか、とおっしゃるでしょうが、木のモデラーとしては、木と木を止めるのに瞬間接着剤を使うのは気がとがめます。そうこうしているうちに、ボンドが乾きかけてきます。このとき、エイヤッとばかりに押し付けると、これが不思議、立ってくれるではありませんか!


だが、油断は禁物。2本の後ろ脚が立ったら、乾くのを待って、前脚に移ってください。あわてるとまた元の木阿弥ですよ。
ところで、みなさんの中で、このような木工ボンドを用いての4本の脚の立て方にアイディアをお持ちの方がおられましたら、コメント欄でお知らせください。

ということで、悪戦苦闘の末、ついに下の写真のような「立つ馬」ができました。


あと、残る作業は、尾っぽだけです。
薄くて、先がパサパサの木片を見つけてきて、下の写真のように、つけてやりましょう。


どうです。このお尻の盛り上がりがなんとも言えませんね。これで逆転の王者、黒鹿毛の名馬ローズキングダムの完成です。

これでも十分凛々しいのですが、優勝を祝して、皇居の楠木正成の銅像のように、台座に乗せてやることにしましょう。
また、かまぼこ板を利用して、その四方をカンナで面取りします。カンナがなければ、板の方を持って、サンドペーパーの方にこすり付ければいいのです。何度もやっていると丸くなってしまい、シャープさが出ませんから、ご用心。


ということで、ついに彼も銅像の立てられる、バラ王国の名馬となりました。めでたし。めでたし。

次に、同じような方法で作った様々の馬の例をお見せしますから、参考にしてください。

1)仔馬


ローズキングダムに子供が出来たことを想定して、仔馬を作って手前に並べてみました。直径15mmの棒ですので、胴が70mm、首が50mm、頭が20mmのように全ての面で小振りの作りになっています。このように、拾ってきた棒に合わせて、いろいろの寸法の馬を作って遊ぶのも楽しいですよ。

2)1歳馬


これは、まだあどけなさの残る1歳馬です。後ろ足をぐっと上げて前方にのり出し、いかにも世間知らずの無鉄砲な感じですね。

3)若駒


反対にこっちは、世間が少しわかり始めたお兄さん馬で、レースなんか出たくない、とややしり込みしたスタイルになっています。耳は独立した2枚の小片を乗せてあります。

4)はいはいどうどう馬


これは、よく公園などにある、子供が乗って遊ぶオモチャの馬をイメージして作りました。わざと脚を短くして広げ、首を長くしてあります。

5)チャグチャグ馬っこ


これは、滝沢村の「ちゃぐちゃぐ馬っこ」をイメージして作りました。着飾った子供をのせるため、お腹の部分が下がっています。とぼけたおかしさが感じられますか。

6)ザレマ


写真ではわかりにくいですが、今回作った内で一番の大型馬です。台形の底辺は110mmあります。ザレマは牝(めす)ながら体重が530キロもありました。競走馬は、年々大型化しているようですが、それではガラスのような脚がもちません。

7)オグリキャップとメジロマックイーン


オグリキャップとメジロマックイーンという芦毛(あしげ)の馬のそろい踏みです。芦毛とは灰色の馬のことで、この白さを出すために木の外皮を剥ぎました。芦毛の馬は、最初は黒色や茶色をしていますが、人間と同様、歳をとるごとに斑点が出たり白くなっていきます。

8)佐藤 健


馬なのに佐藤健?そうなんです。出来た馬にドリルで目を入れた途端。まさに画竜点睛。馬が佐藤健に化けたのです。小栗旬はいまや旬ではなく、この人の馬目が旬なのです。ブレイクダンス大好きの少年タケルは、岡田以蔵を経て、今や制服など着てゆうちょ家族になっています。

9)ティファーナでの出来事


これは、馬を主題にした「ステージ模型」の作品です。メキシコの牧場主の乗ったこの馬は何かにおびえて急に立ち上がります。この牧場主の運命や如何に? さらに、孫をつれて散歩中のおじいちゃんも危険を感じて身を構えます。一体、この馬は何に驚いたのでしょうか。

ということで、今回はここで終わることにします。次回をおたのしみに。

追記;
おっと、ほとんど忘れるところでした。先に作った作業台ですが、ドックの働きをするだけでなく、下の写真のように、木工ボンドを縦にして立てておくこともできます。


木工ボンドが少なくなってきたら、こうして下へ向けて流し貯め、最後の一滴(?)まで使い切ってください。それでも、キャップの内側にも残っていますからご注意。この意味がわかる人こそ、本当の、木のモデラーです。


なお、私はこれらの馬たちのような、お人形の模型をホームページで公開しています。ぜひ、次のサイトを訪れて見てください。


また、このような模型とは別に、油絵(生絵)も描いています。それらは、次の、別のサイトで公開しています。下のアドレスをクリックして、ぜひ訪れて見てください。